- 今の仕事を続けるか決めるためのヒントを得る
- 仕事に前向きになれるポイントを知る
幸か不幸か、多くの人の人生の内、かなりの時間は労働によって占められます。
ましてや、少子高齢化、あるいは超高齢化への道を突き進んでいるこの日本では、何歳まで働けば「上がり」になるのかさえ曖昧になってきています。
より自分に適した仕事を選びたいと願うのは、ごくごく自然なことと言えるでしょう。
しかし、「今の仕事に自分は向いているのか、続けるべきなのか」という問題に答えるのはそう容易なことではありません。
まず、ご自身がこの問いに行き着いた原因は何なのかという点から始めたうえで、適性、仕事、職場、働き方など、いくつかの視点から光を当てることで、疑問を解きほぐしてみましょう。
Contents
向いてないのではと感じた要因を洗い出す
まずは、「仕事に向いてないのでは」と思い至ったきっかけを整理してみましょう。
もちろん、たった一つの出来事とは限りません。
周囲のちょっとした言動や、日々仕事をこなしていく上で生じた、微妙な違和感の積み重ねが、現在のお悩みとして形成された可能性もあります。
「なんとなく」そう感じただけ、という方もいることでしょう。
しかし、何かしらきっかけとなるような出来事があったはずです。
少なくとも、わざわざこの記事にまでたどり着いた方であれば、本当に訳もなくそう感じただけ、という訳ではないでしょう。
以下に、多くの方がこの思いに行き着く原因となるものを列挙しました。
ご自身に当てはまるのはどれでしょうか。
ポイント
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上司から「この仕事に向いてない」と言われた
- 仕事に慣れず、ミスやトラブルが多い
- やりがいを感じられない、楽しくない
- 業務内容が自分の強みや適性とマッチしていない
- 他に目指したい目標、夢がある
カテゴライズしてしまえば単純そうに見えるかもしれませんが、実際の状況や事情は千差万別です。
要因ごとに、深掘りしておきたいポイントを見ていきましょう。
上司から「この仕事に向いてない」と言われた
他人の評価などあくまで主観。
そう頭では分かっているつもりでも、仕事が「できる」側の上司や先輩からこのように言われたら、誰だって落ち込みます。
なかなか反論しづらいですし、「一理あるのかもしれない」と思ってしまうかもしれません。
こう言われると、たいていの場合は、自信もやる気も失ってしまうことでしょう。
ご自分では真面目に仕事を続けてこられたつもりであれば、なおさらです。
さて、このような場合にまず確認しておきたいのは、ご自身の職場において、こうした発言が飛び出すことが常態化しているかどうかです。
もしもこんな言葉が当り前のように飛び交う環境であれば、部署内、会社内でパワハラが横行している可能性が高いです。
場合によっては、早めに転職、退職へと舵を切るべきかもしれません。
上司というものは、部下の業務を管理する責任を負っているものです。
多少なり頭の回る上司であれば、部下に対して「向いてないよ」などという言葉はおいそれとは使わないはずです。
部下を指導する上では、このような言葉はなんのロジックもありませんし、何より極めて攻撃的です。
ただただモチベーションを損なうだけの言葉を使う意図を考えてみると、よほど感情的に怒っていた(あるいは怒らせた)のか、あなたに対して悪意があったのかです。
前者の場合は、まともに取り合う必要はありません。
上司といってもただの人間ですから、根拠もなく強い言葉が飛び出ただけでしょう。
案外、「あれは言わなくてよかった、、、」などと、裏で反省しているかもしれません(だから許してやれとは言いませんが)。
では、後者の場合はどうでしょうか。
この場合も、相手の発言を気に病む必要はありません。
上司の狙いはあなたを精神的に潰してしまうことなのですから、むしろ気にしてはいけません。
ですがこれは、相手の発言をなかったことにしていいという訳ではありません。
そういった攻撃をしてくる状況であれば、同じようなことが今後も起こる可能性は十分に考えられます。
また、黙って耐え忍んでいては、向こうも増長して更に抑圧的な態度を取ってくる可能性もあるでしょう。
多くの場合、人は反撃してくる心配のない相手と分かれば、余計に張り切って攻撃してくるものです。
正面切って切り返すのが難しければ、社内、社外の然るべき部門、機関に相談するべきです。
パワハラを受けているとして相談を申し入れれば、何らかの改善に向けた措置が取られるはずです。
自分だけ一方的に殴っていられると思い込んでいる相手には、こうした対応はかなり効果的でしょう。
仕事に慣れず、ミスやトラブルが多い
同じミスを何度も繰り返してしまう、教えてもらったことをなかなか覚えられないような場合、「この仕事向いてないのかな。。」と感じる人は少なくありません。
確かに、人間どうしたって向き不向きはあります。
気質的にどうしても細かい数字を管理することができない人もいますし、ルーティン作業は得意だが、何かを提案するなどの創造的な業務はできない、という人もいるものです。
確認しておきたいポイントの1つは、今の仕事を始めてからどの程度の期間が経過しているかです。
物事に習熟するまでにはどうしても個人差があるものです。
始めてからほんの数週間、2~3か月程度では、慣れないという人がいたって不思議なことではありません。
ただし、同じミスは繰り返さないようにする、教わったことのメモを整理しておくなど、それなりに工夫する余地もあります。
2~3年続けているのにまだミスが減らないという方は、(残念なことではありますが)やはり仕事に向いていない可能性もあるでしょう。
異動願いを出すか、転職活動へと舵を切る方が賢明かもしれません。
月並みですが、「捨てる神あれば拾う神あり」なんて言葉もあるように、より上手くこなせる仕事がきっとあるはずです。
また、もう1点確認しておきたいのは、職場でのプレッシャーが過剰ではないか、ということです。
平均台を渡る際には、もちろんバランス感覚や体幹も不可欠ですが、足場の悪い高所に対する恐怖心を克服しない限り、なかなかうまくはできないものですよね。
それと同じで、もし部署内の空気が異常にピリピリしている、ちょっとしたミスですぐに叱責が飛んでくる、といった状況であれば、かえってミスが増えてしまうのも無理はありません。
ご自身の問題ではないので、落ち着いて業務をこなせるように意識してみてください。
やりがいを感じられない、楽しくない
仕事内容が単調で楽しくない、業務目標を達成しても喜びを感じられない、あるいは、そもそも業務の目標、ゴールが不明確なためやりがいを感じにくい、という方はどうでしょうか。
一つ言えるのは、やりがいを持って仕事ができていると断言できる人はそう多くないということです。
よくも悪くも、一種の惰性で仕事を続けているという方は少なくありません。
感受性のスイッチを意図的に切り替えてうまくやっていける方もいますし、逆に日々の仕事の内にも何かしら喜びや楽しみを見出したいという方もいるでしょう。
ここでチェックしておきたいことの1つは、ご自身がどのようなことにやりがいを感じるのかです。
単に「やりがい」という言葉でくくっても、実際はどのようなときにそれを感じるのかは人それぞれです。
企画職であれば、自分の企画した商品コンセプトが会議で承認されたときに喜びを感じるという方もいますし、営業職であれば、自分の力で契約を結び、具体的な数字を勝ち取ったときにやりがいを感じる方もいることでしょう。
また、上記のように結果にやりがいを見出す方ばかりではありません。
日々の業務を通じて成長できているという実感を重視する方、職場の信頼できる人々と連携して仕事を完遂させるのが楽しいという方など、なんらかの過程、あるいは形に残らないものに重きを置く方も案外多いものです。
ご自身が仕事の何で「やりがい」を感じるのか、明確に言語化できますか?
例えば、自分はどうしても他人と交渉する仕事をしたいのに、事務職に配属されているというのであれば、ご自身がやりたいこと、考えているキャリアプランを明確にしたうえで、上司や人事担当者に相談してみるのがいいでしょう。
ただし、会社側にも人員配置の計画があります。
また、人気のある部署への希望であれば、他にも優秀な志願者がいるかもしれません。
規模の大きな会社であれば、なおさら個人の希望は通りにくいもの。
どうしても希望する職場への異動が叶わない、あるいは思った以上に年数がかかりそうであれば、転職を視野に入れて考えるべきでしょう。
あるいは…
どうしても仕事にやりがいを感じる要素がないなら、趣味などのプライベートの時間を充実させることに専念するのも一案です。
業務内容が自分の強みや適性とマッチしていない
上段の内容ともに通っていますが、「やりがい」が主に仕事を続けるうえでの心理的なファクターであるのに対して、強みや適性を考えるときには、業務を遂行していく上でのより実践的な資質・能力が問題となります。
入社時の面談で伝えていた自分の得意分野、スキルが全く活きない部署に配属された、あるいは、深く考えずに就職してみたが、今にして思えば自分の強みはこの業界とはマッチしない、ということもあるでしょう。
自分の特技やスキル、強みが明確にあるというのは、稀有なことです。
それを活かさない手はありませんし、優秀な働き手が来ることを嫌がる企業などありません。
早急に異動か転職に向けてのアクションを起こすべきでしょう。
ここで一つネックになるのは、総合職で就職する場合、配属先がどこになっても不思議ではないということです。
また、転職時の面談・面接で、「希望する職種、部署に配属されなかった場合は?」と質問されることも想定されます。
もちろん、「どの部署でも精一杯業務に励みます!」といえば受けはいいでしょうが、結局思っていたのとは違う部署に配属されてしまっては、苦労して転職してきた意味がありませんよね。
そういった方は、近年話題になっている「ジョブ型雇用」や、スペシャリストとしての職種採用を行っている企業にあたってみることをお勧めします。
従来型の「ゼネラリスト」人材の雇用とは異なり、ジョブ型雇用では、業務内容に基づいて、それに応じた能力、スキルを持った人材を採用します。
企業側のニーズとご自身の提供できるスキルの一致を確認しやすい形態でもありますし、やりたい仕事がはっきり定まっている方は、こういった雇用形態を取る企業を選択肢に入れてはいかがでしょうか。
また、「自分の強みがなんなのかははっきり分からないが、今の職場ではそれが活かされていない気がする」と悩まれている方もいるかと思います。
そんな方は、一度転職サイトなどでの診断サービスを利用してみるのがおすすめです。
ご自分ではなかなか分からない適性を、客観的な視点から判断してくれるかもしれません。
他に目指したい目標、夢がある
最後にチェックしたいのは、ご自身の中で、将来なりたい姿、目標があるとして、それを現在の会社で実現できるかどうかです。
これは必ずしも、面接で話せるような「キレイな」内容である必要性はありません。
「とにかく業界内で有名になりたい」「金持ちになってリッチな暮らしをしたい」など、ギラギラした「野望」であっても構いません。
これを明確に抱き続けられている方はそう多くありません。
今乗っているレールでそこそこのゴールにまで行けばいいかなという人が大半です。
夢や目標が定まっている方は、それだけで極めて稀有なことであるといます。
ここで誰もが悩むのが、今の仕事での(曲がりなりにも)安定した生活と、どうなるか分からない自分の夢に繋がる仕事のどちらを選択するのかという問題です。
すでにご家族がいらっしゃる方でしたら、なおさら難しいところです。
配偶者やお子さんとの合意が得られないままやりたいことに突入するのも危険が伴います。
できる限り、自分の状態と、目指す夢や目標に向けてのルートを言語化してみましょう。
ポイント
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今の仕事は具体的にどういった条件なのか。
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自分が本当にやりたいこと、なりたいもの、手に入れたいものは何なのか。
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実際に何をすればそれを実現できるのか。
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そのために何を捨てて、何を選ぶ必要があるのか。
困難ではありますが、なるべく問題を言語化し、更にそれを家族や信頼できる友人に伝えてみましょう。
ご自身には見えてなかった部分を補完してもらうことで、より考えを整理できるはずです。
まとめ
ここまで色々ご紹介してきましたが、結局突き詰めてみると、忙しさのあまり疲れてしまっていたという方も少なくありません。
余裕がないと、どうしても自信を喪失してしまいがちですし、自分が何をしたかったのかも見失ってしまいます。
そんな方は、とにかく休みを取るべきです。
心身を休めて落ち着いて考えてみれば、案外問題もクリアになってくるものです。
また、「仕事に向いてないんじゃないか」という疑問について、一人で考えてみてもなかなかうまく解決の糸口が見つからないという方は、プロに頼ってみるのがいいかもしれません。
転職エージェントに所属するプロのアドバイザーなら、同僚や友人とは違う、専門的な知識に基づいた助言をもたらしてくれるはずです。
もちろん、必ずしも明確な指針をもたらしてくれるというわけではありません。
プロが自分の適職や業種をズバリ言い当ててくれるなどという期待を寄せるのは禁物です。
あくまでも、自分で考える上でのアドバイスとして話を聞くことを心がけましょう。