- コミュニケーションのコツがわかる
- コミュニケーションに前向きに取り組める
皆さんは、自分のコミュニケーション能力に自信がありますか?
仕事をしていると、「自分の話がうまく伝わっていない」、「自分の意見をうまく伝えられない」、みたいな経験から、だんだんと人と話すのが辛くなってきて、「自分ってコミュニケーション能力が低いんじゃないか...」と自己嫌悪に陥ることがあるかと思います。
でも、職人でもない限り、仕事をしていく上で、他人とコミュニケーションを取ることからは逃れられませんよね。。。
前回のカッツ理論の記事でもご紹介した通り、ヒューマンスキルの一つであるコミュニケーション能力は、一般社員、管理職、幹部職に関わらず、社会人なら常に必要とされるスキルです。
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社会人なら意識するべき3つのビジネススキル!
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そういう私も、自分のコミュニケーション能力に深く悩んだことがあります。
自分のコミュニケーション能力に自信がなかったので、だんだんと人と話すことが億劫になってきて、「仕事がつらいな...」と思ってふさぎこんでいた時期もあります。
ただ、コミュニケーション能力というのは、ちょっとしたコツを意識すれば、誰でも劇的に改善することが可能です。
私は、このちょっとしたコツを意識するだけで、コミュニケーションを取ることが楽しくなり、いろんな交渉事や、折衝事でも、自分の思いのままに事を進めることができるようになりました。
今日はそんなコミュニケーションのコツについて解説します。
コミュニケーションとは?
そもそもコミュニケーションとは?
そもそもコミュニケーションとはどのようなものを指すのでしょうか。
「コミュニケーション」は、情報の伝達、連絡、通信の意だけではなく、意思の疎通、心の通い合いという意でも使われる。
出典:小学館 デジタル大辞泉
仕事を進めるうえでは、わかりやすい指示を出したり文章を書くといった、正確な情報伝達が求められます。
ただ、その背景には、何のための指示か、文章によって相手にどう動いて欲しいのか、といった「目的」や「考え」が必ずあります。
言い換えると、コミュニケーションとは、お互いの「目的」や「考え」を理解する事、理解してもらうことと言えるでしょう。
そして、コミュニケーション能力とは、相手を理解し、相手に理解してもらう能力のことだと言えます。
言語コミュニケーションと非言語コミュニケーション
コミュニケーションは、次の2つに大別されます。
- 言語コミュニケーション
- 非言語コミュニケーション
言語コミュニケーションは、さらに「伝える力」と「受け取る(聴く)力」に分けることができます。
言語コミュニケーション
言語コミュニケーションは、言葉の通り、言語を用いて意思疎通を図ることを指します。
この際、自分の考えや意見を相手に伝えることと、相手の考えや意見を理解することが大切になってきます。
そこで求められるのが「伝える力」と「受け取る(聴く)力」なのです。
伝える力
伝える力とは、「書く」、「話す」という手段によって、自分の伝えたい内容を相手に正確かつわかりやすく理解してもらう能力を意味しています。
相手が理解に苦しんでいるようでしたら、例え話を交えたり、より平易な言葉や表現を使ったりしてわかりやすく伝えるようにしましょう。
伝える力が弱いと感じている人は、「目的」や「伝えたい内容」を明確にすることを意識してみて下さい。
伝える力が弱い人で、よくある原因は、「そもそも何を伝えたら良いか分かっていない」ということです。
何かを伝える前に、「そもそもどんな目的で、何のためにこれを伝えるのか」ということを一旦整理したうえで、伝えることを心がけるのがよいでしょう。
受け取る(聴く)力
受け取る(聴く)力とは、「読む」、「聴く」という手段を用いて、相手が伝えたいことや相手の意図を正確に理解する力を意味しています。
コミュニケーションは、相手がいて成り立つものです。
いくら自分が伝えたいことを相手に伝えられても、相手の意見を聞いて理解できないようだといつまでたっても意思の疎通ができないため、受け取る(聴く)力もコミュニケーションにおいては非常に重要です。
相手が話しやすい雰囲気作りをし、しっかりと話を聞くようにしましょう。
受け取る(聴く)力が弱いと感じている人は、「相手のことを知りたい」という気持ちを持って他人と接して下さい。
受け取る(聴く)力が弱い人で、よくある原因は、「相手にそもそも全く興味がない」ということです。
自分だけが意見を言うのではなく、相手の意見にも耳を傾け、お互いが納得できるようなコミュニケーションを心がけるのが良いでしょう。
非言語コミュニケーション
非言語コミュニケーションは、言葉の通り、言語を用いずに意思疎通を図ることを指します。
非言語コミュニケーションは、ノンバーバル・コミュニケーションともいわれ、たとえば「話す」、「書く」といった手段を用いない意思伝達方法を指します。
他者とコミュニケーションを図る上で、表情や顔色、声のトーン、話す速度、ジェスチャー、視線などは、言葉以上に大きな役割を果たします。
「人は見た目が100%」、「生理的に受け付けない」という言葉があるように、人は意外と話しの内容ではなく、見た目や、雰囲気で人を判断しがちです。
こうした非言語コミュニケーションを私たちは無意識に、時に意識的に使い分けています。
また、服装や髪形、香りなども非言語コミュニケーションとして影響しているという考えもあります。
見た目が大事だと他の記事でも、解説しましたが、見た目や雰囲気というものは意外と中身よりも大事だったりします。
相手にとって、心地よい「非言語コミュニケーション」ができているのか、一度、客観的に自分のコミュニケーションを評価してみて下さい。
コミュニケーションに求められる能力
コミュニケーションは大きく次の2つに分けられるということは先ほど解説しました。
- 言語コミュニケーション
- 非言語コミュニケーション
そして、コミュニケーション能力は、次の4つの能力に分類することが可能です。
- 意思伝達力
- 論理的表現力
- 好感表現力
- 対人調和力
どの能力も、「言語コミュニケーション」、「非言語コミュニケーション」を用いて、発揮することになるでしょう。
それでは一つずつ解説していきます。
意思伝達力
「意思伝達力」とは、自分の目的に沿って、自分の考えや意見を相手にわかりやすく伝える力を指します。
仕事をするうえで、自分の考えを相手に伝える力は不可欠です。
たとえば、顧客へのプレゼンテーションや、顧客との交渉、上司への提案などに、あらゆる場面で意思伝達力を求められるでしょう。
その際、自分が伝えたいものを明確に理解し、それを相手にとって理解しやすい形で、しっかりと伝える力があれば、「意思伝達力」が強いと言えるでしょう。
一方で、この「意思伝達力」が弱いと、自分の考えを相手に伝えることができないので、コミュニケーションがうまくいかない事が多くなります。
ここでのポイントは次の2つです。
- 自分の伝えたい内容を明確にしていること
- 自分の伝えたい内容を説明できること
「意思伝達力」が弱い人は、
- 伝える前に、目的や内容を明確にする
- 自分の意見をはっきりと言葉にする
という習慣を普段から身に着けておくのが良いでしょう。
論理的表現力
「論理的表現力」とは、筋道を立てて説明したり、文章にできる力を指します。
ビジネスにおいては、取引相手にしても、社内関係者にしても、相手に納得したうえで仕事を進めてもらう場面が多くなると思います。
その際、なぜそれをしないといけないのか、なぜそれをしてもらわないといけないのかについて、理由を、筋道を立てて、わかりやすく説明する事が求められるでしょう。
論理的な説明の場合、相手にとっても意思決定がしやすいので、仕事をはやく進めることができます。
一方で、この「論理的表現力」が弱いと、自分の考えが論理的に正しいことを相手に伝えることができないので、コミュニケーションがうまくいかない事が多くなります。
ここでのポイントは、
- 自分が伝えたい内容を筋道を立てて表現できること
です。
「論理的表現力」が弱い人は、
- なぜそれを伝えるのか、他の人に説明できるよう、自分で整理し、納得した上で相手に伝える
という習慣を普段から身に着けておくのが良いでしょう。
好感表現力
「好感表現力」とは、相手にとって、印象の良い表現ができる力を指します。
「自分の思っている事を伝えた」、「論理的に正しいことも伝えた」、でもなぜか相手には伝わっていない。むしろ不機嫌になっている。。。
そんなことってないでしょうか?
「人間は感情的な生きものだ」ということがよくわかる一例ですね。
どんなに論理的で正しい意見でも、感情的にイヤで受け入れらないことって多いと思います。
なので、相手がイヤな感情を抱かないように、笑顔で明るく雰囲気の良い見た目で、相手にとって思わず手助けたくなるような気持ちの良い伝え方を意識するようにしましょう。
ここでのポイントは次の2つです。
- 相手にとって好印象な見た目(笑顔、身だしなみ、雰囲気)
- 相手にとって、気持ち良い(うれしい)表現で伝える
「好感表現力」が弱い人は、
- 笑顔や身だしなみを整える
- 相手にとって心地よい言葉遣いをする
という習慣を普段から身に着けておくのが良いでしょう。
対人調和力
「対人調和力」とは、相手の意図や感情を理解し、配慮する力を指します。
自分の言いたい事だけを伝えるだけではコミュニケーションは成立しません。
相手の意見や、周囲の意見をしっかりとくみ取る必要があります。
自分の意見を伝えるだけでなく、相手の意見をしっかりと聞くことも心がけましょう。
ここでのポイントは次の2つです。
- 相手の意見に興味をもつ
- お互いが納得する会話にする
「対人調和力」が弱い人は、
- 相手について「知りたい」という感情をもつ
- まずは相手の意見を聞いて、自分の意見に取り入れる
という習慣を普段から身に着けておくのが良いでしょう。
コツはこれだけ!コミュニケーションスキル
さて、では、具体的にどのようなスキルを持ってコミュニケーションをすればよいのかについて解説していきます。
基本的にコミュニケーションは次の手順で行われていると思います。
一般的なコミュニケーションの手順
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信頼形成
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話題提供
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相手の意見を聞く
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自分の意見を伝える
上記、それぞれの手順で役に立つコツやスキルについて解説していきます。
デートなどでも使えるので、悪用厳禁ですよ!
信頼形成
ここでは、相手にとって、自分が信頼できる人物だということを認識してもらう必要があります。
ここでは次の2つのスキルについてご紹介します。
- 好意の返報性
- ラポール
- 好意の返報性
- ラポール
好意の返報性
まず、相手に対しての接し方ですが、「非常に友好的」、「好意的」な感情を持って接するようにしましょう。
心理学では、「返報性」の原理があり、基本的には、相手からされた行為に対して、同じような行為をしたくなる心理があります。
「好意」に対しては「好意」を、「敵意」に対しては「敵意」をといった感じです。
基本的に、敵を増やしてよいことは全くないので、どんな人とコミュニケーションをするときも「好意」をもって接するようにしましょう。
挨拶の時に、ちょっとしたお土産を持っていくのも効果的です。
ラポール
みなさん、「ラポール」という言葉をご存知でしょうか?
「ラポール」とは、「お互いに理解しあえるような居心地のよい雰囲気の状態」を指します。
わかりやすい例でいうと、みなさんがご自身の親友と一緒にいるときの状態をイメージしてもらうと良いと思います。
信頼関係で結ばれていれば、どんな意見も伝えやすいですよね。
ビジネスの場において、この「ラポール」を早期に高いレベルで形成できれば有利に仕事を進めることができます。
ラポールの形成において、必要なのは次の能力です。
- キャリブレーション能力(五感観察能力)
- ペーシング
ここでは、この「ラポール」を形成するためのこの2つのスキルについて解説します。
キャリブレーション能力(五感観察能力)
相手がどのような状態にあるのか、言語以外のサインで見分けるための情報をキャリブレーションと言います。
相手の非言語的変化や、兆候を踏まえ、どういう状態でいるのか観察し、それによって自分がどうコミュニケーションを取るのが適切か検討しましょう。
ペーシング
「ペーシング」はラポール形成に欠かすことのできないスキルです。
「ペーシング」とは文字通り、「相手とペースを合わせること」を指します。
表情、姿勢、動作、声の調子や話し方など、相手の動作を観察し、同じ表情、姿勢、動作、声の調子や話し方で接するようにしてみましょう。
そうすることで、相手は、「息が合う」、「波長が合う」と感じ「ラポール」を形成することができます。
ちなみに動作のペーシングを、「ミラーリング」、声の調子や、感情の出し方のペーシングを「マッチング」と呼びます。
ここでは文字数の関係で、多くは書けませんが、他にもいろんなラポール形成スキルがあるので、興味がある方は、調べてみてくださいね。
話題提供
さて、「ラポール」で信頼形成ができれば、コミュニケーションの本題に入っていきましょう。
ここで役に立つのが次のスキルです。
- リーディング
リーディング
リーディングとは、相手の狭まってしまった視野を広げるお手伝いや、行動パターン・言動パターンで「相手が求める方向にシフトさせるサポート」を行うことを指します。
いわば、自分がコミュニケーションを取りたい話題について、相手が全く興味がない状態から、相手に自発的に興味を持ってもらうサポートするスキルのことを指します。
ここでは、相手に自分が話したい内容について、新しく興味をもってもらったり、新しく解釈したりする機会を提供することを心がけましょう。
相手の意見を聞く
ある話題の提供ができれば、その話題についての相手の意見を聞きましょう。
その時、有効なのが次のスキルです。
- バックトラッキング
バックトラッキング
バックトラッキングとは、日本語で「オウム返し」と呼ばれ、相手の言ったことをそのまま返すことを指します。
バックトラッキングの目的は、相手の話をちゃんと聞いていることを示すことと、相手に自分が発した言葉を再認識してもらうことにあります。
そのため、できるだけ相手の使った表現そのものを返す必要はありますが、一語一句同じでなくてはならないというわけではありません。
バックトラッキングは、相手とのラポール(信頼関係)を築くために有効な方法としても挙げられています。
バックトラッキングを行うと、相手は自分の話がよく理解され、受け入れられているという感覚を持ちます。
相手の意見が自分にとって優位なものだった場合、バックトラッキングを行い、再認識させておくのも効果的でしょう。
自分の意見を伝える
最後に、自分の意見を伝えるときの効果的な2つのスキルをお伝えします。
- リフレーミング
- ミルトンモデル
リフレーミング
リフレーミングとは、物事の枠組み(フレーム)を変えることで、出来事に別の視点を持たせるものです。
リフレーミングに関する有名なたとえ話ですが、コップに水が半分入っている時、「半分しか入っていない」というフレームと「半分も入っている」というフレームでは物事の感じ方が異なってきます。
「半分しか入っていない」というフレームでは、不満や不足を感じるでしょうが、「半分も入っている」というフレームでは、満足や喜びを感じることができるでしょう。
このように、同じ出来事でもフレームを変えるだけで、物事の感じ方を変えることができます。
私たちが、意見を伝えるときには、相手の意見をくみ取ったうえで、相手にとって魅力的で受け入れやすい内容に変えて伝えることが効果的です。
ミルトンモデル
ミルトンモデルとは、催眠療法の第一人者として有名なミルトン・エリクソンがクライアントに対して使用していた巧みな言葉遣いを分析・体系化したものです。
ミルトンモデルでは、非常に多くのスキルが解説されているのですが、ここでは、その中でも特に有効な「前提」というスキルについてご紹介します。
前提
前提とは、相手に受け入れてほしい内容を既に理解しうえで話をすすめていく表現のことを指します。
例えば、取引先に営業ツールを買ってもらいたいときなどに、
「御社の事業課題は営業ツールにあると思いますよね?」
というような表現をすることで、仮に相手が、「いや生産体制にある」と他の課題を認識していても、「この会社は営業ツールに課題がある」という前提に基づいて会話が進みます。
上記で紹介したコツやスキルは、あくまで一例です。
ご紹介したコツやスキルのように、色んなコミュニケーションスキルを学ぶことで、コミュニケーションをすることが得意になってくると思います。
是非、今日からこれらのコツやスキルを用いて、コミュニケーションをしてみて下さいね!
まとめ
今回は、コミュニケーションについて解説致しました。
皆さんは、小さい頃から色んなコミュニケーションをしてきたかと思いますが、コミュニケーションについて学んだことがありましたか?
おそらく、コミュニケーションについて学んでこなかった方が多いかと思います。
是非、これを機会に、いろんなコミュニケーションスキルについて学んでみてはいかがでしょうか。
特に、コミュニケーションが苦手という方は、少し学んで実践するだけで、劇的にコミュニケーション能力が改善されると思います。
是非、学んだことを実践して、皆さんの生活に役立ててくださいね!