- 場面に適した株の指標がわかる
- それぞれの指標の使い方がわかる
正しい指標の使い方を知れば効果的に株式投資が行えます。
さて、皆さんは株式投資を順調にスタートさせていますか?
うまく資産を増やしている方も、そうでない方もいると思います。
「株なんて簡単だし、この調子で大丈夫!」という方は、無理にこの記事を読む必要はありません。
あなた自身の確立した方法で、利益を出し続けられるでしょう。
これからお話しする内容は、「株を始めたけど上手くいかない」、「利益は出しているけどまだまだ物足りない」そんな方にぜひ知っていただきたいものです!
これから、どのようにすれば上がる可能性の高い株を分析できるかを紹介していきます。
Contents
株を選ぶにはその場面に適した指標を利用する!
関連記事で、株式投資では割安株を選ぶべきというお話をしました。
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同じ業界でも株価は1,000円だったり、100円だったりとかなり違ってくるので、判断が難しいところだと思います。
投資家は、そんな株式の価値の割安感・割高感を判断するために、株価に関する財務情報の指標を利用しています。
例えば、ROE(自己資本利益率)やPER(株価収益率)などが、株を選ぶ際によく使われる指標です。
しかし、一つの指標を使えば、それだけでOKということはありません。
株価購入時の景気の局面・その人の選ぶ投資期間に応じて、適切に指標を使い分ける必要があるのです。
では、具体的に何の指標を使うべきかを、短期・中期・長期に分けてお話ししていきます。
【短期】短期投資で使う指標は3パターン!
まずは、「短期投資」、これは主に1年未満の期間の投資を指します。
短期投資では、さらに細かく3つの場面に分けてお話しします。
パターン1.景気の底
1つ目は景気の底です。この時に見るべき指標としては「PSR(株価売上高倍率)」が最適です。
PSRとは時価総額(株価×発行済株式総数)÷売上高という計算式で出せる値で、売上高と時価総額をもとに、スタートしたばかりの新興会社の株価水準を見るための指標としても使われます。
目安としては、20倍以上だと割高、0.5倍以下だと割安とされています。
(例1)A社:時価総額1億円、売上高1,000万円 B社:時価総額2億円、売上高4,000万円
このケースでは、それぞれのPSRはA社:10倍、B社:5倍となり、B社株の方が割安と考えられます。
パターン2.景気の山
2つ目は景気の山、つまりもっとも景気が良いとされる時です。このタイミングで見るべき指標は「ROE(自己資本比率)」です。
ROEは自己資本(純資産)に対して利益がどれだけ出ているのかを示す指標で、当期純利益÷自己資本という計算式で出すことができます。
数値が高い方が効率的に利益を上げることができる収益性の高い会社とされています。
(例2)A社:当期純利益1,000万円、自己資本1億円 B社:当期純利益2,000万円、自己資本3億円
このケースでは、それぞれのROEはA社:10%、B社:6.7%となり、A社の方が投資した資本から効率的に利益を上げられる会社といえます。
パターン3.景気の後退
3つ目は景気が後退している時期です。
この時期に見るべき指標として、1つは上でも挙げたROE、そしてもう一つは「PBR(株価純資産倍率)」が重要です。
PBRは企業の成長性を見るための指標で、企業の純資産に対して株価が適切な水準化を測るために用いられます。
計算式は株価÷1株当たり純資産で表されます。PBRは1倍以上だと割高で、それ以下だと割安だと考えられています。
(例3)A社:株価1,000円 1株当たり純資産800円 B社:株価2,000円 1株当たり純資産1,000円
このケースでは、それぞれのPBRはA社:1.25倍、B社:2倍となり、A社株の方が割安といえます。
【中長期】中長期投資ではROEとPERを重視せよ!
次は「中長期投資」、およそ3年~7年の期間で投資を計画している方が活用すべき指標をご紹介します。
一つは、上の短期投資でもご紹介した指標、ROEです。
中期投資においては、収益性・資本効率性が高く、それが長期にわたって安定している会社を重視すべきです。
それを見るために欠かせないのがROEなのです。
ROEの他にもう一つ重視すべき指標があります。
それは「PER(株価収益率)」です。
PERは株価が1株当たり利益に対して割安かどうかを示す指標になります。
成長速度が速い会社は、利益がまださほど出ていない段階でも株式の人気が高いという理由でPERが高くなるという傾向にあります。
つまりPERはその会社の将来に対する投資家の期待値を示している指標で、株価÷1株当たり利益という計算式で出すことができます。
(例4)A社:株価1,000円 発行株式数10万株 当期純利益3,000万円 B社:株価500円 発行株式数40万株 当期純利益3,000万円
このケースでは、それぞれのPERはA社:3.3倍 B社:6.7倍となり、A社株の方が割安といえます。
中期投資をする上でさらに成長性のある株を選ぶのでしたら、次の3つの条件をクリアしている銘柄をオススメします。
- PERが15倍以下であり、かつ、その業界の中でPERが下位3割以内の銘柄を選択すること
- 営業利益率とROEの水準がその業界の中で平均以上であり、かつ、ROEがその業界の中で上位8割以内の銘柄を選択すること
- 時価総額が300億円以上であること
ROE・PERだけでも中期の株式投資には十分有用な指標ですが、この3つの条件をクリアしていれば、成長銘柄を選ぶ上でより安心といえるでしょう。
【超長期】超長期投資ではFスコア戦略を利用せよ!
最後は「超長期投資」です。
超長期とは7年以上の期間でじっくり株の成長を待つパターンです。
超長期投資では、短期投資でお話ししたPBRが有用な指標と考えられています。
PBRが低い、つまり割安感のある銘柄を複数購入して、それらの銘柄を1年に1回程度見直すことがオススメです。
超長期投資では、低いPBRの中で、投資家からそれほどの評価を受けていない銘柄を購入します。
そして、その中から将来の急成長を信じて投資するというものです。
投資家から期待されていないため、成功すれば株価の大幅な伸びが望めます。
ただ超長期というだけあって、なかなかすぐには利益に結び付くものではありません。
もちろん、超長期投資は、短期・中期投資と比較して最終的には、株価の上昇率が高くなる可能性は大いにあります。
・・・が、やはり時間がかかってしまうものです。
また、保有期間が長くなるため、一時的な下げに直面することもあるはずです。
こんな状況は、超長期投資ではいくらでも発生するものですが、せめて将来絶対に上がるという確実性を高めたいですよね。
そこで、その確実性を高めるために、銘柄選定の判断基準をより計量化した方法が「Fスコア戦略」です。
超長期的投資で株式銘柄を選ぶにあたって、Fスコア戦略が大変有効であると考えられます。
これはスタンフォード大学の会計学者Piotroskiが生み出した、株式投資でリターンを大きくするための銘柄選定術です。
Fスコア戦略とは、低PBRの銘柄を複数を選択し、その中で下の表「Fスコアの9項目」のうち、7得点以上のものを購入するというものです。
項目 | 指標 | 得点 | 内容 |
F1 | ROA | 1 | 予想ROA(注1)がプラス |
0 | それ以外 | ||
F2 | FOA改善 | 1 | 予想ROAが前期数字を上回る |
0 | それ以外 | ||
F3 | MARGIN改善 | 1 | 予想営業利益率(注2)が前期数字を上回る |
0 | それ以外 | ||
F4 | CFO | 1 | 予想EBITDA(注3)÷総資産がプラスの場合 |
0 | それ以外 | ||
F5 | CASH改善 | 1 | 現金同等物(注4)÷総資産が前期数字を上回る |
0 | それ以外 | ||
F6 | LEVER改善 | 1 | 負債比率(注5)が前期数字を下回る |
0 | それ以外 | ||
F7 | TURN改善 | 1 | 予想資産回転率(注6)が前期数字を上回る |
0 | それ以外 | ||
F8 | ACCRUAL | 1 | 営業CFが営業利益を上回る |
0 | それ以外 | ||
F9 | ACCRUAL | 1 | 前年度に普通株を発行していない |
0 | それ以外 |
この表をもとに評価した結果、7点以上となった銘柄があれば、それは超長期投資において、将来の有望株になる可能性を大いに秘めているということです!
今後の株式投資でぜひ参考にしてみてください。
以下の記事では、これから株式投資を始めるという方におすすめの証券会社をご紹介しています。
まだ始めていない方は、是非一度ご覧ください。
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【2021年最新・始め方】初心者が株式投資を始めるなら登録したいネット証券会社
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(注1)ROAとは総資産利益率のことを指し、総資産に対しどれだけ利益を生み出すかを占める収益性の指標である。
「ROA=当期純利益÷総資産」という計算式で表される。
ROAが高いほど、効率的に利益を生み出せていることを示している。
予想ROAとは「翌期の予想当期純利益÷当期末時点の総資産」で算出される予想値を指す。
(注2)営業利益率とは売上高における営業利益の割合を指し、その会社が本業でどれほど効率的に利益を上げたかという収益力の高さを知ることができる。
「営業利益率=営業利益÷売上高」で表される。
営業利益率が高いほど、本業での収益力が高いといえる。
予想営業利益率とは「予想営業利益率=翌期の予想営業利益÷翌期の予想売上高」で算出される予想値を指す。
(注3)EBITDAとは国によって違う税率、特別損益の影響、負債の金額によって生じる異なる金利の影響、各期で変化する投資の償却費の影響を取り除いた、より純粋な収益力を測る指標である。
税引前利益に支払利息・減価償却費・特別損益をプラスして算出される利益として計算される。
代表的なEBITDAの算出方法として、「EBITDA=営業利益+支払利息+減価償却費」がよく用いられる。
予想EBITDAとは「予想EBITDA=翌期の予想営業利益+翌期の予想支払利息+翌期の予想減価償却費」で算出される予想値を指す。
(注4)現金同等物とは、容易に換金でき、かつ、価値の変動によるリスクが小さい短期投資を指す。
例として定期預金、コマーシャルペーパー(無担保の約束手形)などがある。
(注5)負債比率とは中長期的な安全性を測る指標であり、自己資本に対する他人資本(負債)の割合を示す。
「負債比率=負債÷自己資本」という計算式で表される。
負債比率が低いほど、返済能力が高く、安全性が高いといえる。
(注6)資産回転率とは総資産がどれだけ効率的に売上を生じさせたかを示す指標である。
総資産が1年に売上とし何回転しているのかを意味する。
「資本回転率=売上÷総資産」という計算式で表す。