- 上司や同僚からの理不尽な要求を断ることができる
- 交渉力について考えるきっかけになる
「交渉力」
あなたはこの言葉を聞いて、どう感じたでしょう?
私は、社会人なら必ずこの「交渉力」を持つべきだと考えます。
いわば、「交渉力」こそが社会人必須のスキルであると言って過言ではありません。
もしあなたが、今の仕事や、待遇、周りからの自分への評価、転職するかどうか、家や車などの高い買い物をするかどうかに悩んでいるなら、この「交渉力」が大いに役立つことでしょう。
この「交渉力」がなければ
- 理想とする人生を歩むことができない
- やりたいことが実現しない
- 年収や、評価などの待遇が上がらない
- あらゆる人から「搾取」される
という望まない人生を歩むことになる可能性は大いに高まると言っていいでしょう。
現に、私がそうでした。
今では、会社で自由に働きながら、個人でも会社を持ち、自分がやりたいことだけをやっている私ですが、この「交渉力」を身に着けるまでは、会社に搾取され続け、私生活でも、自分の本意ではない契約をしてしまうなど、悲惨な生活を送っていました。
例えば、会社で真面目に仕事をしても、成果を出せば出すほど、逆にどんどん仕事が増え、その一方で待遇は改善されず、やりたい仕事からは遠ざかっていく、、、そんな経験をされたことがある方は多いのではないでしょうか?
また、増えていく自分の仕事量とは裏腹に、年上の大して仕事ができない社員の方が、仕事量は少ないのに、年功序列で自分の倍近い年収を貰いながら、ゆとりある仕事の進め方をしているなど、そういった待遇差があると、イライラが募っていきますよね笑
私生活でも同じことが言えます。
「本当はこの人のことがあんまり好きじゃない」、「こういうところがイヤだけれど、雰囲気で押し切られて付き合って(結婚して)しまい後悔している」あるいは、「本当は欲しくないモノでも、店員さんに押し切られて高いものを買ってしまった」など、この「交渉力」がないと、イヤな人生を送ってしまう可能性があります。
上記は「交渉力」がなかった頃の、私自身の経験です。「交渉力」を持たなかった私の社会人生活は、ズタボロだったと言って過言ではありません。
また、世間には「悪い人」もいくらでもいます。
「交渉力」がなければ、こうした人々に対して何の太刀打ちもできずに陥れられてしまう可能性だってあります。
この記事では、そんな真面目に仕事をしている人が、悲惨な社会人生活を送らないための「交渉力」について解説致します。
「交渉力」さえ身に着ければ、社会人生活における大抵の苦難は、乗り越えられるといって過言ではありません。
この記事をきっかけに、「交渉力」を磨いていきましょう!
Contents
交渉力とは
そもそも交渉とはどのようなものを指すのでしょうか?
交渉(こうしょう、英: negotiation)とは、合意に到達することを目指して討議すること
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
交渉というのは、上記の通り、2人以上の関係者が、何かしらの合意に到達するためのコミュニケーションの事を指します。
では、交渉力というのは、どのようなものを指すのでしょうか。
交渉力というのは、上記の交渉を合意へと導く能力のことを指します。
「立場の異なる関係者を、合意に到達させるための能力」ということもできるでしょう。
これを実現するための要素には、次の通り様々なものがあります。
これだけあれば大丈夫と言えるものではありません。
交渉を実現させるための要素
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合意に対する温度差
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他の選択肢
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時間や納期
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情報
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演技力
-
客観的状況
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人間力
上記の通り、ありとあらゆる複合的な要素が要求されることになりますが、以下で要点について解説します。
交渉に挑む前に確認しておきたいポイント
準備無しで交渉に臨むということは、いわば武器を持たずに丸腰で戦場に出向くことと同意です。
そのため、交渉に臨む前には、必ず、事前準備をしておくようにしましょう。
ここでは、交渉前に確認しておきたいポイントについて解説致します。
利益
一般的に交渉というのは、2人以上の立場の異なる関係者が、お互いに納得のいく合意にたどり着くまでに行われます。
自分と相手の双方が納得のいく合意をするためには、それぞれの「利益」、「欲しいもの」をしっかりと認識しておく必要があります。
自分の利益について
まず、明確にしておきたいのが、自分自身の「利益」です。この交渉のゴールをどこに置くか、ゴールがどこになれば自分にとって良いのかということを明確にしておきましょう。
「利益」「欲しいもの」が複数ある場合は、一つずつ、その利益に優先順位をつけましょう。その利益が、「MUST(必須)」のものなのか、「WANT(あれば尚良い)」のものなのか、整理しておくことで、交渉時に、譲れないものは譲れない、自分が損しないということができます。
相手の利益について
交渉というのは、双方に利益がないとなかなか合意には至らないものです。もちろん、一方が利益を総取りすることも可能ですが、それでは長く関係を続けることは難しいでしょう。
交渉とは、双方が同意して初めて成り立つものなので、相手の利益も満足させなければ、自分の利益を得ることは難しいでしょう。
自分の利益と同様、相手の利益についても理解することが重要となってきます。
相手の利益を考えるために必要なことは、「相手の立場になって考える」ことです。「相手がどう考えているのか」を理解するために、相手の立場に立って、相手の利益を想定してみましょう。
身近な例で言うと、恋愛において、相手がどんな「恋人の条件」を持っているか考えると良いでしょう。「ルックス」、「社会的地位」、「年収」、「優しさ」など、どんな条件を持っていて、自分がそれをどのくらい満たしているのか、満たせていないのかを考えることで、相手が自分を受け入れない理由となりう要素を潰し込んでいくことが可能です。
交渉がうまくいかないときは、この準備ができていないことがほとんどです。
自分の利益について、相手の利益について、しっかりと整理することから挑んでいきましょう!
選択肢(オプション)
私たちの交渉におけるゴールというのは、必ずしも一つとは限りません。
自分と相手の双方にとっての最大の利益が得られる合意は、最高のゴールといえますが、お互いにとって、最低限満足できる利益の合意もあるでしょう。
数値で見た場合、それぞれの最大満足度が100だとすると、(100、100)の合意もあれば、(50、50)、(30、70)、(5、1)などのゴールもありえます。
ここでお伝えしたいことは、交渉のゴールを一つに絞り込まないということです。
交渉においては、ある程度の譲歩が必要になってきます。
お互いの利益というものをしっかりと整理したうえで、双方が満足できる交渉のゴール、選択肢をなるべく多く想定しておくことが良いでしょう。
基準
交渉が難航する理由に、お互いが自分の利益に固執し続けることが挙げられます。
お互いの意地の張り合いで、交渉が決裂することもあるでしょう。
それを回避するために、お互いの利益について、基準を設けることが重要です。
ここでいう基準とは、第三者から見た視点、市場価格、法令、過去の事例など様々です。
基準のいいところは、お互いに公正だと思われることに従えばすむことです。
例えば、モノを購入する際に、言い値で売られるよりも「市場の相場がこれくらいだからこの値段です」という理由で売られた方が、納得して購入することができるでしょう。
なので、自分の利益や、相手の利益について、それが、公正で妥当だという基準をもとに示すことができれば、お互いに納得した合意を得ることができます。
代替手段
ほとんどの交渉では、うまくいかなかったときに代替手段を検討しますが、それでは遅いです。
選択肢を検討する際には、必ず代替手段も含めて検討するようにしましょう。
代替手段があれば、代替手段を用いて、自分の利益を維持、縮小の抑制、拡大することも可能です。そして、代替手段によって、相手も利益を維持、縮小の抑制、拡大することが可能になります。
提案
交渉を優位な立場で進めるためには、提案の仕方も重要になってきます。
相手の出方や、その時その時における対応なども想定した提案をすることで、自分の意のままの合意に導くことも可能です。
ここでは、自分が納得した交渉をするための3つの提案についてご紹介いたします。
①目標を高く掲げた提案
私たちは、たいてい失敗を避けようと、一番初めから控えめな目標を設定しがちです。
それはいわば、交渉のスタートラインの時点で、自分側に不利な状況ではじめることと同じことです。
そうではなく、あらゆる選択肢をふまえ、自分にとって最大の利益を得ることができる提案から、交渉を進めることが良いでしょう。
②次善策の提案
自分にとって、最大の利益が得られない場合、ある程度の利益を確保した上で、合意できる案を用意しておくのもよいでしょう。
自分の利益が最大になる提案と、最低限になる提案、両極端の提案しかない場合、最大になる提案が受け入れられなかった場合、自分にとっての利益はいきなり大幅にダウンしてしまいかねません。
最大とは言わないまでも、ある程度想定していた最大の利益に近くなるような提案を準備しておいた方が、自分にとって、満足のいく合意をとることができるでしょう。
③これ以上は譲れない最低ラインの提案
最後に、あなたにとって、ここだけは絶対に譲れないという最低ラインの提案を用意しておくことをオススメします。
先ほど、お互いの最大の利益が100とした場合、(100、100)、(50、50)、(5、1)などあらゆる合意が可能ということをお伝えしました。
自分が取れる利益が、どこまでは最低限必要かという、撤退、交渉決裂ラインというものを用意しておくことが、自分の身を守るために重要です。
例えば、あなた自身が今の仕事を有能にこなせているとして、さらに将来に繋がらないどうでもいい仕事を与えられ、それによって給与が増えていない場合、給与以上の仕事に関しては、あなたの利益はゼロ、会社にとっては100というような考えができるでしょう。
そういった、自分にとってなんのメリットもない選択肢を取らないために、自分にとっての最低限の提案ラインというものを用意しておくのがよいでしょう。
例えば、新しく仕事が割り振られる場合は、もともと持っていた仕事の一部を他の人に引き継げない場合は、自分は引き継がないというような選択肢をとるなど、自分が不利にならない、最低限満足できるラインというものを用意しておくことが望ましいです。
以上の5つのポイントを押さえたうえで、交渉に挑むようにしましょう!
交渉の各フェーズ
ここでは交渉の各フェーズと、それぞれのフェーズで必要なことについて解説していきます。
交渉のフェーズは、大きく分けて次の3段階に分かれます。
交渉のステップ
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交渉準備
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交渉中
-
交渉後
先程解説した、5つのポイントを踏まえたうえで、次の3つのフェーズについて考えてみて下さい!
交渉準備
最も重要なフェーズです。事前準備こそが、交渉の成否の9割を占めると言っても過言ではありません。
先程お伝えした5つのポイントを踏まえたうえで、交渉準備を進めてください。
「目的」を設定する
まずは、交渉における「目的」を整理しましょう。
その交渉はなんのために行うのか、どんな結果が欲しいのかによって、交渉の進め方や得られる結果が変わってきます。
まずは目的を設定した上で、交渉の中身を検討していきましょう。
「MUST要件」と「WANT要件」を整理する
自分にとっての「MUST要件」と、「WANT要件」を整理しましょう。
自分にとって、絶対に譲れない条件は、「MUST要件」で、場合によっては譲ってもよい条件は「WANT要件」となります。
何も考えずに交渉をすすめて後悔する結果にならないように、自分の中の譲れるものと、譲れないものを整理しておきましょう。
交渉相手の情報を入手する
「交渉」で難しいのは、相手にとっても「目的」があり、譲れる条件、譲れない条件があるということです。
交渉前に、相手にとっての「目的」や、「MUST要件」、「WANT要件」をリサーチしてから望むようにしましょう。
「ゴール」を複数用意する
自分と相手の交渉における「目的」と「MUST要件」、「WANT要件」、が整理できれば、あとは、それを達成するための解決策を複数検討します。
まずは、自分のMUST要件を満たせて、相手のMUST要件を満たせる解決策を検討し、そこからお互いにとっての「WANT要件」を満たせる解決策を検討していくのがよいでしょう。
交渉をシュミレーションする
ゴールが複数検討できれば、あとは、どのようにそのゴールに持っていくかをシュミレーションしてみましょう。
ここでは、話の進め方だったり、心理テクニックも必要になってきます。
自分でストーリーを組み立て、それを他の人とロープレしてみることをおススメします。
また、自分が相手の立場に立ってみることで、より良い解決策を見出すこともできるので、相手の立場に立ってのロープレも効果的です。
交渉で結果を残すために、交渉準備はしっかりと行っておきましょう。
交渉中
ここでは交渉の進め方についてお伝えします。
内容によって進め方は変わってきますが、ここでは、交渉時の押さえるべきポイントをご紹介します。
相手の「目的」、「MUST要件」、「WANT要件」を確認する
まずは、なるべく相手から多くの情報を引き出しましょう。
「なぜ、交渉の場に立つことになったのか」、「相手にとって必要な事、必要なモノ、必要な情報は何か」、「絶対に譲れないものはあるか」など、相手から「目的」、「MUST要件」、「WANT要件」を引き出せば、あとは、それらの課題に対して、こちらが提供できるものをあてはめれば、論理的には問題ない合意に至ることが可能となるでしょう。
ただ、この相手から情報を引き出すというスキルは、なかなか難しいものがあるので、ロープレなどで、どのような手順で話を進めていくか検討した方が望ましいでしょう。
自分の「目的」、「MUST要件」、「WANT要件」を伝える
相手の要望を確認できたら、こちらの要望を伝えます。
こちらの要望を伝える際に気を付けたいのは、なるべく相手の要望を満たす形で伝えることが望ましいでしょう。
自分の「目的」が満たせる範囲で、相手の「目的」を解決できる旨をお伝えしましょう。
事前に準備した「ゴール」にどれが一番近いか確認する
お互いの要望が確認できれば、あとは事前に用意した「ゴール」にどれが一番近いかを確認します。
場合によっては、相手とのコミュニケーションの中で、「ゴール」を模索する必要があるでしょう。
また、自分の要望を伝える際には、自分が着地させたい「ゴール」に着地するために、話の進め方を組み立てましょう。
これらが臨機応変にできれば、あなたはプロの交渉人と呼ばれていることでしょう。
実際は、臨機応変に対応することはかなり難しいので、事前準備の段階で、複数のケースを想定したロープレを行っておくことが賢明です。
代替案を交えながら相手の不満足な点を解消する
お互いの要望をお伝えした後に、すんなり合意に至るケースは少ないと思います。
互いに要望を出し合った際には、たいていお互いの理想とのギャップが生じます。
自分の「目的」や「MUST条件」がしっかりと確保できていることを確認したうえで、相手の「目的」や「MUST条件」がどういった条件なら満たせるのか模索していきましょう。
事前に用意しておいた「ゴール」通りに話を進めることができていれば、交渉が一通り終わったうえで、その「ゴール」とのギャップを代替案で、解消できるかを提案すれば問題ありません。
交渉を成立させる
よくある交渉というものは、お互いの目的や要望を伝えたままで終わってしまったというものです。
「持ち帰って検討します」という人間をタダで返してはいけません。
交渉というものは、成立しなければ、それに要した時間や費用が無駄になってしまいます。
お金や時間を大切にするという意味でも、交渉は必ず合意に至らせることを目指しましょう。
そのためにも「持ち帰って検討します」という人には、「どんな点で今すぐの合意が得られないのか」、「どんな内容であれば、今すぐの合意が得られるのか」を必ず確認してください。
必ず交渉の段階で、「合意に至れるのか」、「どんな理由で合意に至れないのか」までを確認するようにしましょう。
交渉後
交渉結果について整理し、文章に残す
交渉が終わったら、内容を整理して、必ず両者が確認できる文面を残しておきましょう。
交渉が成立しているなら、「議事録」や、「請求書」、「契約書」などを発行します。
成立していないならば、「どんな内容で成約まで至れなかったのかや、成約するための条件、期日」などが明記されたものを共有するのが良いでしょう。
結果を出し、結果を確認する
実際に交渉が成立したのであれば、あとは、お互いの「目的」の達成に注力しましょう。
お互いの「目的」の達成を確認できれば、その交渉は、「成功」だったと言えることができるでしょう。
交渉力を発揮するために普段から磨いておきたいスキル
さて、交渉に向けての準備や、交渉のステップについてはご理解いただけたかと思います。
ここでは、交渉を優位に進めるために、あるいは不利な交渉を行わないために、普段から磨いておきたいスキルについてご紹介します。
専門性
交渉において、身に着けておくと強力なスキルになるのが、「専門性」です。
例えば、あなたが何かの商品を売りたいとして、その商品に関しての知識や、他社の商品などの知識について、何も知らない状態だと、売ることは難しいでしょう。
交渉を優位にするために、交渉する内容の分野について詳しくなっておくのが望ましいでしょう。
傾聴力
交渉において、相手のニーズをつかむことはなくてはならない重要なスキルです。
どんな効果的な商品でも、相手がそれを必要としていなければ、売ることは難しいでしょう。
相手の話をよく聞き、相手のニーズをつかむためにも、普段から人の話をしっかりと聞くことを心がけておきましょう。
また、どんな人でも、自分の話をよく聞いてくれる人には好意を持ちやすいものです。
相手からニーズを引き出すためにも、しっかりと人の話を聞くという姿勢、傾聴力を普段から磨いておきましょう。
論理的思考
相手のニーズが確認できたら、次は、相手に納得してもらう必要があります。
そこで必要になってくるのが、論理的思考です。
論理的に相手のニーズを満たす提案を行えば、相手は、それを否定することはできません。
「普段何気なくしている提案は、きちんと論理的整合性が取れているのか」など、日常生活の中から論理的思考に意識して取り組んでみましょう。
身だしなみ、マナー、言葉遣い
論理的に正しい解決策を提案ができても、「言ってることは正しいけどなんかイヤ」など、時に感情的な判断に流れてしまうのが人間の性です。
例えば、営業などで、提案内容が全く同じだったとして、髪の毛がぼさぼさで体臭がひどい不潔な男性と、清潔感があって愛嬌のある男性だと、成約率が変わってくると思います。
身だしなみ、マナー、言葉遣いなど、普段からの小さな積み重ねがその人の雰囲気として醸し出され、相手はそれによって人を判断したりします。
そういったところで損をしないためにも、普段から、身だしなみ、マナー、言葉遣いなどを意識しておきましょう。
まとめ
交渉力は、身に着けておけば最強のスキルになります。
交渉力を身に着けておけば、自分にとって納得した結果が得られるだけでなく、自分が不利な立場に立たされることや、不満な環境に居続けさせらることもないでしょう。
あなたもこれを機に交渉力を身に着けて、納得のいく社会人生活を送っていきましょう!