- 会議の司会進行のコツがわかる
- 自分の司会進行を見直すきっかけになる
「重要な会議の司会進行役になってしまった。。。会社の重役もたくさん出席している会議で、どうしたらよいかわからない。。。」
こんな感じで、社会人になると、イヤでも司会進行役をさせられる機会が出てくると思います。
みなさんは、司会進行役を上手くできている自信はありますか?
かくいう、私は、そもそも人前で話すことすらできないタイプだったので、司会進行役になることが苦痛で仕方ありませんでした。
そんな私でも、これからご紹介する司会進行のコツを押さえるだけで、今では、「今日の司会進行役よかったよ。」と会議後に周りの人から言ってもらえるまでになりました。
今回は、そんな司会進行をうまくやるためのコツについて解説致します。
良い会議とは?
ちなみに、良い会議とはどんな会議を指すのでしょうか?
そもそも、基本的には会議自体に価値はありません。
会議後に、会議前と比べて、行動が変わり、思っていた以上の結果が得ることができればそれは良い会議と言えるでしょう。
つまり、良い会議とは、「やる前とやった後で行動の量や質が変わる会議」のことを指します。
会議だけを行って、そのあとの行動に何も変化がなければ、それは単なるコストになるでしょう。
ちなみに、良い会議を導くために、司会進行者が持つべき心得として有名なのもので、「GAT」というフレームワークがあります。
GATとは、
- G=ゴール。会議中に何ができればOKなのか。
- A=アジェンダ。議題は明確か。
- T=タイム。時間を守っているか。
司会進行が上手な人は、会議中に「何ができればOKなのか」を把握した上で、会議を進めます。
また、そのゴールを導きだすための、アジェンダを事前に用意し、それから話がそれないように、会議を上手くまとめています。
さらに、開始時間を厳守し、予定時刻よりも早めにゴールに導けるスキルがあればより良いでしょう。
会議の種類と目的
一言で、会議といっても目的ごとに様々な会議があります。
だいたいの会議は、次の3つの区分に分けることができます。
主な会議の種類
- コミュニケーション会議
- 議論会議
- 意思決定会議
それぞれの特徴について解説致します。
報告・連絡・相談などのコミュニケーション会議
コミュニケーション会議の目的は「情報の共有」です。
報告・連絡・相談などの情報の共有を主に行う会議であり、基本的には、議論をしたりしません。
ここでは、いかに情報が漏れなく共有されているか、引き出されているかを重視して司会進行を行うのがよいでしょう。
問題発見、意見、アイデア出しの議論会議
議論会議の目的は「選択肢を増やすこと」です。
テーマに対して、参加者はあらゆる視点から自由に意見を述べます。
商品開発会議や、営業会議、方針会議など、自由な意見が求められるため、司会進行が会議の良しあしを決めるといっても過言ではありません。
自由なために、方向性が定まらなかったり、時間がただ過ぎてしまったりすることがよく見られます。
司会進行役は、「参加者から情報を引き出し、時間内にある程度まとめる」という意識をもって運営するのが望ましいでしょう。
合意形成などの意思決定会議
意思決定会議の目的は文字通り「物事を決定すること」です。
ここでは、「何かを決める」という目的があらかじめ設定されており、それに対して、社長など意思決定ができる人を中心に、意思決定に関するリスクや懸念事項を検討したうえで、最終的に物事が決定されます。
ここでは、どれだけ客観的に説得性のある内容で、多くの人が納得できるかが重要視されます。
司会進行者は、会議の目的と、それに対する意見などをあらかじめ把握したうえで、会議を進めることが求められます。
また、会議の後、下された意思決定がきちんと実行されたかを確認するという確認の役割も担うことが多いでしょう。
司会進行をうまくやるためのコツ
ここでは、司会進行を上手くやるためのコツについて、会議前、会議中、会議後の場面ごとに分けて解説致します。
ここでご紹介するコツを上手く自分のものにできればあなたは立派な司会進行役として周りから評価されることでしょう。
会議前
参加人数、開催場所、開催時間を確認しておく
まず、基本中の基本ですが、会議をするにあたって、参加人数、開催場所、開催時間を確認しておきましょう。
参加人数によって、開催する場所を選定する必要がありますし、参加者の都合によっても開催時間の調整が必要になります。
会議を時間通りに始められるよう、参加人数、開催場所、開催時間をまずは確認するようにしましょう。
また、参加人数が適切かも検討の余地があります。議題にあまり関係のない人が出席してしまうと、「発言しなくても良い」という空気が醸成されます。また、その参加者の時間もただのコストになりかねないため、議題に関係する人のみを厳選するようにしましょう。
目的、ゴールを把握しておく
司会進行者として、この会議が「何のための会議か」、「ゴールはどこなのか」ということを把握しておくようにしましょう。
司会進行者が、会議の目的を把握しておかないと、参加者も何のための会議かよくわからなくなってしまいます。
会議をうまくまとめていくためにも、「会議の目的」や「会議の着地点」を把握した上で、会議に臨むようにしましょう。
参加者がどのような発言をしそうか事前に想定しておく
会議を進めていくにあたって、参加者がどんな発言をしそうか事前に想定しておきましょう。
もしも想定外の質問があった場合、会議がうまくまとまらない可能性もあります。
会議が始まる前までに、誰がどんなことを発言しそうかシミュレーションした上で、その場合の対処法について検討しておきましょう。
場合によっては、会議前に根回しすることも必要になってきます。
会議中の面倒毎を避けるためにも、会議の参加者がどのような質問をしそうか、事前にシュミレーションし、対処しておきましょう。
会議までにアジェンダを作成し、配布しておく
会議までに「どのような会議進行にする予定なのか」がわかるアジェンダを作成し、配布しておきましょう。
内容としては、
アジェンダに折り込みたい内容
-
日時
- 場所
- 参加者名
- 会議の議題と目的
- 議題内容にかける時間と時刻
が簡潔に盛り込まれていることが理想です。
会議をより円滑に行うためには、会議そのものの制限時間や目的、ゴールをあらかじめ連絡しておくとよいでしょう。
「ここまでを〇分で決めなければならない」など、時間を意識させることで、参加者も会議に集中しやすくなります。
また、ゴールが見えていることで、参加者の話す内容も整理され、進行がしやすくなります。
アジェンダは参加者に会議の意味を理解してもらい、スムーズな会議進行を実現させることに意味があります。
そのため、長々としたアジェンダではなく、簡潔に内容が把握できるものが望ましいでしょう。
また、作成したアジェンダは可能な限り、会議前日までに配布を完了するようにしておきましょう。
配布が早すぎては目を通してもらえない可能性もありますし、直前すぎると、目を通す時間がないため、会議参加者が事前に準備せずに会議に挑んでしまう恐れがあります。
ツールは事前に接続確認をしておく
会議で使用する機材は、会議前に接続確認しておきましょう。
マイクやプロジェクターや、TV会議システムなど、会議に使用する機器を事前に接続確認をしないで会議に挑んだ場合、「接続の仕方が分からない!」といったトラブルが会議中に発生すると、会議時間が長引くなど、参加者に迷惑をかける可能性があります。
そういった点から考えても、会議前に使う機材の操作を確認しておくことは大切なのです。
議事録を取る人を決めておく
会議前に議事録を取る人を決めておきましょう。
よく司会者が自ら議事録をとるケースを見かけしますが、議事をとるたびに進行が妨げられたり、全体をうまくまとめることができないといった問題が発生しがちです。
効率よく会議を進行するために、可能であれば司会進行者とは別に議事録の担当を決めておくのが望ましいでしょう。
議事録の担当者はなるべく会議の内容を把握している人が適任です。
会議の内容が分からない場合、用語の説明や把握などコミュニケーションコストが発生する可能性がある他、会議の内容の抜け漏れが発生する可能性が高くなります。
会議中
会議の冒頭に「ゴール」を改めて明示する
会議前にアジェンダで、会議の目的を連絡していたとしても、会議冒頭では必ず、会議で議論したい内容と目的に加えて、「今回の会議のゴールは○○です」と、「会議のゴール」を参加者と共有するようにしましょう。
そうすることで、参加者全員が、そのゴールに向けて議論することができます。
また、仮に、議論が脱線したとしても、参加者が議題からそれないようにうまくフォローしてくれることもあります。
会議は時間厳守を心掛ける
会議はアジェンダで連絡した時間を守るようにしましょう。
定刻に始めることはもちろんのこと、決められた時間内で、決めるべき内容を決める事を心がけて下さい。
「この司会者の場合、決められた時間内で終わらなくてもよい」という認識をもたれた場合、話が時間内に終わらないという会議を多々運営することになります。
また、参加者の中で、他の会議に参加する予定のある人がいる場合、その人がいなくなったがために、何も決まらずに中途半端に会議が終わるということになりかねません。
限られた時間の中で、目的を達成するという意識をもって会議に挑んでもらうためにも、時間厳守を心がけましょう。
いつも以上にハキハキ喋る
会議の雰囲気を左右するのも司会進行役の務めです。
元気のない暗い司会進行の場合、そもそも議論をする雰囲気になれません。
どんなに、まとめることが下手でも、明るく元気に司会進行を進めるというのは、司会進行役として最低限の役割だと認識してください。
明るく元気な雰囲気づくりさえしておけば、周りの人がうまくサポートしてくれることでしょう。
時には会話を切ることも大切
会議は時間が限られています。
会議を円滑に行うためにも、司会進行役は、時には会話や議論を切り上げることも大切です。
必要以上の情報を話して、会議を長引かせている人がいれば、「〇〇さんのおっしゃってることは、~ということでいいですか?」などと、うまくまとめて切り上げさせるのも司会進行役の仕事です。
場合によっては、時間が迫っている旨を伝えて、切り上げるようにしましょう。
こういった強制的な切り上げや、進行を優先する行為は司会進行役しかできません。
自分しかできないことだという意識を持ち、場合によっては積極的に切り上げましょう。
会議の議題と目的は5W2Hでまとめる
会議とは、「会議の前と後で行動の量と質を変えること」ということは冒頭で説明しました。
参加者が会議の目的とゴールを理解していれば、不要な議論を防ぐことができます。
会議を整理するにあたって有効なのが「5W2H」というフレームワークです。
「5W2H」とは次の内容を指します。
5W2H
- When:いつ
- Where:どこ
- Who:誰が
- What:何を
- Why:なぜ
- How:どのように
- Hou much:いくらで
上記の「5W2H」を使って会議の内容を整理してみましょう。
参加者の顔や声の変化に気を配る
会議は、参加者全員で行うものなので、発言していない人からも発言してもらうように働きかけるのも、司会進行役の務めです。
特に、若手の社員などは、上司や年配の社員に遠慮して発言を控えがちです。
できるだけ、参加者全員で、合意の結論を下すためにも、ときには「〇〇さんはどうですか?」などど話を振って、意見をもらうようにすると良いでしょう。
また、決定事項に対して異論がないか、異論がありそうな人にも会議の中で意見をもらうことが重要です。
会議の場で、反対の意見を述べてもらった方が、会議後にしこりが残らず、円滑に仕事を進めることができるからです。
最後に決定事項を読み上げる
会議の後で、参加者から「そんなことは聞いていない」と言われないためにも、会議の最後に決定事項を読み上げましょう。
決定事項を読み上げて、決定事項に間違いがないことを参加者全員で確認することで、こういった問題を防ぐことができます。
最後の決定事項に対する質疑応答のやり取りを含め、議事録を残すようにしましょう。
本題前にアイスブレイクを設けると有効
会議の本題に入る前に、時間や雰囲気に余裕があれば、雑談などでアイスブレイクを設けましょう。
参加者をリラックスさせて、なるべくコミュニケーションを活発に行うためのものです。
特に初対面の人とのやり取りでは、緊張した空気感になりやすいので、話の本題に入る前にアイスブレイクを設けることが効果的です。
会議後
決定事項と議事録を24時間以内に共有する
会議の最後に確認した決定事項と、議事録を、会議後24時間以内に参加者に共有しましょう。
また、最終的に、内容に問題がないか、内容に不安があるところは参加者に確認してもらうことも重要です。
議事録は、会議のやり取りをそのまま文字に起こすのではなく、議事録作成者が内容をある程度まとめたもので展開するのが望ましいでしょう。
決定事項について、進捗を確認する
会議について、会議自体に価値がないことは冒頭で説明しました。
会議の中で決められた内容によって、「会議前と会議後で、行動の量や質が変わること」が会議の目的です。
会議をして終わりではなく、しっかりと会議後に会議で決めれた内容が行動に移されているかを確認することができれば、あなたは司会進行役として充分な活躍をしたと言えるでしょう。
まとめ
司会進行役は、中間管理職になれば、頻繁に求められるスキルになります。
若手のうちから、司会進行役に慣れておくことで、中間管理職になってから恥ずかしい思いをせずに済みます。
司会進行役がうまくできればあなたは会議の参加者全員から「できる社員」として認められることでしょう。
上記のコツで、みなさんが司会進行をする際の参考になれば幸いです。
ぜひ、司会進行役をする度に、上記のコツができているかを確認して、司会進行役に慣れていきましょう。