- フレームワークを使った仕事の進め方がわかる
- 図解の仕方を学べる
皆さんは、人に何かを伝えるときに、図を使って分かりやすく説明することができますか?
言葉だけではなく、図を用いた方が、相手に伝わりやすいですよね。
例えば、あなたの周りの「仕事ができる人」を想像してみて下さい。
何かを伝えるときは、簡単な図を用いて、わかりやすく説明してくれるのではないでしょうか?
「図で説明できるってかっこいい!自分もあんなふうになれたらいいな!」と思っていても、「でも、自分は頭が悪いから無理だ....」と諦めてはいませんか?
現に私もそうでした。
物事を覚えるのには時間がかかるし、人に伝えるのにも時間がかかり、自分の未熟さに深く悩んでいました。
そんな私でも、これからご紹介する図解で説明するスキルを身に着けたことで、理解力や、説明力には自信が持てるようになりました。
今回は、図解についてご紹介します。
図解で説明するコツをつかむだけで、あなたも「デキる社会人」へ近づきますので、是非、これからご紹介する内容を学んで、実践してみてくださいね。
Contents
人間は視覚的に理解する生き物
我々人間は、聴覚による理解よりも、視覚的な理解に頼りやすいということは、身をもって体験されていることでしょう。
古代中国には、こんなことわざがあります。
聞かざるは之を聞くに若かず。之を聞くは之を見るに若かず。之を見るは之を知るに若かず。之を知るは之を行うに若かず。学は之を行うに至りて止む。
聞かないことは聞くに及ばない。聞くことは、見ることには及ばない。見ることは、理解することに及ばない。そして理解することは、それを実践することには及ばない。したがって学問は実践の段階にまで至って終わるのである。
〔『荀子』儒效〕より
このことわざの通り、私たち人間は、聞くよりも見た方が、何事も理解しやすいと、はるか昔から言われ続けています。
仕事ができる人は、言葉だけではなくて、図を用いた視覚的な説明によって、相手の理解度を向上させています。
そのため、図で理解するスキルや、図を用いて相手に説明するスキルを身に着けることができれば、コミュニケーションの質を格段に向上させることができるでしょう。
図解の手順
さて、図で理解したり、説明したりすることの重要性についてはお分かりいただけたかと思いますが、実践するとなると難しいと思われた方も多いのではないでしょうか。
ご安心下さい。
初めは難しいかもしれませんが、ちょっとしたコツを掴んで、実践していくだけで、あなたも図解マスターになることができます。
図解で重要なのは、次の2点です。
図解のポイント
-
見える化(要素の書き出し)
- 整理(図を用いて整理)
図解が得意な人達は、この2つを同時に行っています。
見える化
まずは、図解なので、「見える化」することから始めます。
「見える化」フェーズでは、いきなり図で表すのではなく、まずは各要素を言葉で書き出してみましょう。
図解をするにあたって、要素は様々かと思いますが、一般的な図解で用いられる要素を用いて、次の順番で解説していきます。
見える化手順
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登場人物・登場要素を決める
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機能・役割・タスクを洗い出す
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時間軸・流れを決める
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関係性を補足する
いきなり図に表すのではなく、これらの内容を書き出していきましょう。
慣れてくると、時間軸から整理できたり、順番関係なく、複雑な事象を見える化することができるのですが、初心者の方は、まずは上記の手順で書き出していくのがよいでしょう。
ここでは、メーカーの「生産フロー」を例に、順に説明していきます。
登場人物・登場要素を決める
説明内容に関係する人物や要素を書き出してください。
ここでは、誰に関係する内容かということをはっきりさせることがポイントです。
例)Aライン、Bライン、Cライン
機能・役割・タスクを洗い出す
登場人物を見える化できたら、各登場人物がどんなことをする人なのか、機能や役割タスクについても併せて記載しておきましょう。
例)Aライン:部品を加工する、Bライン:加工された部品を組み立てる、Cライン:製品を出荷する
時間軸・流れを決める
次に、どのような流れで、その人達が関わっていくのか、時間軸を考えていきましょう。
時間軸を考える際は、左から右につれて、どういう流れで物事が進んでいくのか、順に、書いて下さい。
例)加工→組立→出荷
関係性を補足する
次に、各登場人物がどのように、他の登場人物と関係しているのかを書き出しましょう。
登場人物のマトリクス図などを用いて、関係性を整理するのもよいでしょう。
例)Bラインでは、Aラインで加工された部品を組み立てる
整理
さて、見える化によって要素を洗い出すことができれば、次は図を用いて整理していきます。
ここでは、整理の手順について解説していきます。
整理
洗い出した要素を用いて、次の図を作成して下さい。
最終的に作成されるのは、縦軸に「機能・役割」、横軸に「時間軸・流れ」を使った表ですが、図を作る際は、次の順に作成してください。
整理の手順
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横軸に、「時間軸・流れ」を書く
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縦軸に登場人物を書いていく
-
時間軸・流れに沿って、登場人物の役割や機能を書く
どんな図を使ったら良いかわからないという人は、初めは3×3のマトリクスを用いればよいです。
横軸と縦軸を3つの区分に分けて、整理すると良いでしょう。
コメント
図で整理できれば、あとは、それらを補足する内容を図に加えて下さい。
ここでは伝えたいポイントのみ、加えるのがシンプルで分かりやすいでしょう。
今回ご紹介したのは、一般的な図を作成する際の例ですが、することは冒頭でも述べたように次の2つのステップです。
- 要素を書き出す
- 書き出したものを整理する
初めのうちは、ざっくりで問題ないので、要素を一つずつ書き出しましょう。
要素を書きだしたら、縦軸、横軸に記載する要素を決めて、あとは、それらの表に記載する内容を書き出してください。
最後に押さえてほしいポイントを、図に記載するようにしましょう。
問題整理のときに使えるフレームワーク
さて、代表的な図解の作り方については、先ほど解説しました。
問題を整理する際には、いろんなフレームワークがあるので、それらを参考に、自分の中に、いろんな図解のフレームワークを身に着けて下さい。
ここでは、問題整理の際によく使うフレームワークを5つご紹介します。
このフレームワークを使えるようになれば、これを応用して、色んな物事を整理できるようになります。
プロコン表
プロコン表とは、賛成意見と、反対意見を整理するためのシンプルなフレームワークです。
「プロコン表」の他、「プロコンリスト」と呼ばれることもあります。
プロコンは、ラテン語でプロス(賛成意見)と、コンス(反対意見)を表しています。
- 賛成意見:プロス(Pros)
- 反対意見:コンス(Cons)
プロコン表では、これらの情報を書き出した上で、「判断」に関する意思決定の情報を明確にしていきます。
このプロコン表を応用して、何か一つのテーマに対して、2つの意見が出た際は、このプロコン表のフレームワークを用いれば、シンプルに整理ができます。
例えば、メリット、デメリットを整理する場合も、このフレームワークが応用できるでしょう。
As Is / To Be
「As Is / To Be」とは、「現在の姿:As Is」と「あるべき姿:To Be」を見える化し、そのギャップを解決するための課題を検討するためのフレームワークです。
「As Is / To Be」に加え、時系列順に、「問題:Problem」と「解決策:Solution」までを整理した「TAPS」と呼ばれるフレームワークもあります。
問題解決の第一歩は、「あるべき姿を決めること」です。
そして、あるべき姿を決めたら、「現在の姿」を見える化し、「あるべき姿:To Be」と「現在の姿:As Is」のギャップを検討します。
このギャップである「問題」を見つけるためによく用いられるフレームワークが「As Is / To Be」です。
課題が何か分からないときは、この「As Is / To Be」のフレームワークを用いて、整理してみて下さい。
TAPS
「TAPS」は、先程ご紹介した、「As Is / To Be」に加え、「Problem:問題」と「Solution:解決策」を加えたものです。
「As Is / To Be」を軸にして、問題を説明し、解決策を最後に伝える手法として有名で、プレゼンの構成を考える際のフレームワークとしてよく用いられています。
相手に実行してもらいたい何かがある際は、このTAPSフレームワークを用いるとわかりやすく説明できるでしょう。
- To be:あるべき姿
- As is:現状
- Problem:問題
- Solution:解決策
TAPSでは、「あるべき姿:To Be」、「現在の姿:As Is」、「問題:Problem」、「解決策:Solution」の4つの流れで構成を考えます。
まず相手にとっての問題が何であるか?を明確化して共有することで、相手にとって自分ゴトで話を聞いてもらいやすくなるメリットがあります。
「TAPS」は、「As Is / To Be」で課題を発見した後に、誰かに、実際に課題解決に向けて動いてほしいときなどに話の構成を考えるのに良いフレームワークです。
「起・承・転・結」、「P・D・C・A」など、ストーリー性もって物事を整理したい場合は、このフレームワークを応用すると良いでしょう。
5W3H
5W3Hは情報を、複数の区分に分けて整理するのに役立つツールです。
5W3Hでは、一つの物事を次の区分に分けて整理しています。
- When(日時)
- Where(場所)
- Who(相手)
- What(主題)
- How(用件)
- Why(理由)
- How many(人数)
- How much(費用)
何か一つの事を整理するときは、「Who:誰が」など、何かしら必要な情報が漏れ勝ちですが、このフレームワークを使うことで、必要な情報を漏れなく整理することができます。
もし、必要とする情報が決まっているときなどは、これを応用して、そのパターンに応じた整理の仕方を自分で作ってみるのもよいかもしれません。
先程、学んだ「As Is / To Be」と組み合わせると上記の表ができあがります。
上記の表のように、いくつかのフレームワークを知っておけば、いろんなフレームワークを組み合わせて状況に合わせて情報を整理できるようになります。
バリューチェーン分析
バリューチェーン(Value Chain)とは、事業活動で生み出される価値を一連の流れとして捉える考え方です。
バリューチェーン分析は、活動を一連の流れに沿って整理するのに適しており、商品が顧客に届くまでの過程や項目を1つ1つ分割して、それぞれについて分析しています。
これを行うことで、どの過程で高い付加価値が生み出されているのか、またはどの過程に問題があるのかを明確に把握できます。
例えば企業としては、全体で利益を生んでいるからよしとするのではなく、物流にコストがどれくらいかかっているかなど、過程別にコストを把握することで、自社の強みや弱みを明確にすることができます。
このバリューチェン分析の目的は、次の2つに大別されます。
- 各活動におけるコストを把握しコスト削減につなげること
- 自社の強みを明確にすることで他社との差別化を図ること
バリューチェーン分析は次の4つのステップで行われます。
バリューチェーン分析
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自社バリューチェーンの把握
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各レイヤーのコスト把握
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バリューチェーンの強み/弱み分析
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強みをVRIO(ヴェリオ)分析する
詳細は割愛しますが、ここで認識していただきたいのは、まずは、自社のバリューチェーンの把握を行ったうえで、それぞれの過程について、コストや、強み、弱みを分析している点です。
事例でも紹介した通り、バリューチェーン分析のフレームワークを使えるようになれば、時系列に沿って、物事を整理することができます。
時系列に沿って、物事を整理するというフレームワークを身に着けるために、バリューチェーン分析についても習得するようにしましょう。
まとめ
今回は、図解について解説しました。
あなたの周りのできる上司や先輩のように、すぐに図解で説明するのは難しいかと思いますが、普段の業務から、「見える化」→「整理」のステップで説明をすることを心がければ、あなたも、図解で解説できるスキルが身についていることでしょう。
また、一般的なビジネスフレームワークを一度身に着ければ、そのフレームワークを応用して、物事を整理することができます。
今回ご紹介したビジネスフレームワークを身に着け、図を用いてわかりやすく説明できるビジネスパーソンを目指してみてくださいね!