- 円満退職に向けての手順を知る!
- 退職の際につまづきやすいポイントを知る!
この記事では、円満退職に向けて必要な行動をご紹介していきます。
退職にあたっての手続きは、単に辞表を提出すれば終わり、という単純なものではありません。
転職先も決まっていれば、気も逸るかもしれませんが、辞め際でのトラブルが後々尾を引かないとも限らないものです。
気持ちよく新しい職場でのスタートを切れるよう、正しいプロセスを確認していきましょう。
自分自身の辞める意志を再確認
手続き論的な話かと思いきや、いきなりこんな心構えを説かれて気を悪くされた方がいるかもしれません。
しかし、この「辞める意志」が揺らいでしまう事態は、これ以降まず間違いなく発生してくるのです。
本格的に退職に向けたアクションを起こす前に、ご自身の辞める意志の固さを確認しておきましょう。
とはいえ、単に「絶対に辞めると自分に言い聞かせよう!」と煽っているわけではありません。
辞めるのが正解、残るのが正解と一概に言うことは不可能です。
「もし会社側が慰留の条件として○○を提示してきたら、折れるのもアリかもしれない。。」という場合もあるでしょう。
最低限、以下のポイントを自分の中で決めておくことで、上司・会社との退職交渉でのゴタゴタを最小限に抑えることができるはずです。
ポイント
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退職の理由に会社側からの改善の余地がないこと
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退職を踏み止まる条件はあるのか
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退職時期はいつ頃がいいのか
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突き詰めたとき自分はどうしたいのか、どうありたいのか
ほぼ全ての方が、今の会社に対する何らかの不満や問題ゆえに、転職・退職へと舵を切ったはずです。
本当はどうにかなったはず、なんとかする方法があったはずというような中途半端な状態では、辞める意志がぶれてしまうかもしれません。
退職という並大抵でない決心に至った経緯を振り返ることで、意志を再確認できるはずです。
一方で、退職というカードを切り出すことで、初めて会社側が重い腰を上げるという場合もあります。
会社側としては踏み止まってくれた方がありがたいわけですし、ましてあなたが会社にとってなくてはならない存在となっている場合は、本来はまずありえないような条件を提示してくることも考えられます。
実際のところ、提示された条件を飲んだところで、会社側が約束を反故にする可能性もあります。
また、一旦は改善された状況も、数か月~数年後には結局元の悪い状態に戻ってしまうなどという場合も少なくありません。
しかし、「どうしてもそりの合わないあの上司から引き離してもらえる」「ずっと経験したかったが聞き入れてもらえなかったあの部署に配属してもらえる」など、心が揺れる提案もあるかもしれません。
必要なのは、提示されうる条件から(実際は、ご自身が申告する退職理由次第となるところが大いにありますが)、ここまでは聞き入れない/これが叶うなら残ることも考えよう という線引きをはっきり決めておくことです。
また、転職先との面接や連絡の中で、いつ頃入社できるか、あるいは、いつごろから入社して欲しいかという件は、話題に上っているはずです。
退職日、準備期間、入社日のスケジュール感をきちんと持っておかないと、一日でも長く残ってほしい会社側と、早く入社して欲しい転職先との間で板挟みにもなりかねません。
また、勤務地や住所が変わってくることも考慮すると、退職して2,3日で転職先に初出勤というのは非現実的です。
「今の仕事をちゃんと片付けてからでないと困る」「せめて引き継ぎ相手が決まってから」など、引き延ばしを図ってくる会社に対して、「どう譲歩しても〇月〇日までです」という意思表示をしっかりとしておきましょう。
判断のポイントとして色々と申し上げましたが、こういった問題に関しては、どこまで突き詰めても答えが見えないことも多いもの。
得られる情報全てをチェックし、あらゆるポイントを考慮に入れてみたところで、本当に適切なのはどちらの道なのか、どうしても決めかねるということもあるでしょう。
結局は自分の人生です。
何を選択しようが、誰も責任を取ってはくれませんが、究極的には何を選択しようが他人の干渉を受けるいわれもないのです。
ご自身のやりたいこと、なりたいものは何なのかを見つめて、最後はこれだと思う方に決めてしまうほかありません。
上司に退職の意向を伝える
退職に向けて実際に行動を起こしていくとなると、まずは直属の上司に退職の意志を伝えることになります。
上司と1対1で話す時間を作り、話すことが望ましいでしょう。
伝えるタイミングとしては、法的には退職予定日の2週間前でいいとされてはいるものの、やや現実味に欠けます。
これ以降の手続きや処理も考慮に入れると、実際の退職日から1~2か月前くらいに伝える必要があります。
なお、会社での規定がある場合、無視すると何らかの不利が発生する可能性もあります。理不尽な規定に従う必要はありませんが、事前にチェックしておきましょう。
上司には、以下の内容を事前に整理して伝えることが望ましいです。
できる限りの理論武装をしておいて、上司に「引き留めることは難しそうだ」と判断させられるだけの説明をするつもりで臨みましょう。
ポイント
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退職の意志
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退職に至った理由
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退職希望日
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担当している業務の状況
このうち、退職理由については注意が必要です。
これまでの恨みつらみを爆発させそうになるかもしれませんが、そんなことをした所でメリットがないのは分かりきったこと。
それでもなお言わずにはいられない、これは言っておくべきということでしたら、無理には止めませんが、かえって慰留の交渉に話を持っていかれてしまう恐れもあることは頭に入れておきましょう。
会社の体質、経営戦略への不満ならまだしも、上司や人事部の権限でどうにかできるレベルの不満を言えば、「ではその点は改善する。だから残ってくれないか」という言葉が返ってくることは、想像に難くないはずです。
下手に交渉を長引かせたくないのであれば、「他にやりたい仕事が見つかった」「一身上の都合」などの理由を伝えておく方が堅実です。
上司に根掘り葉掘り聞かれても、「それ以上は答えたくない」と突っぱねればいいのです。
なお、退職後の予定(転職先への入社日、転職先の社名や仕事内容、待遇、勤務地など)は、話す必要はありません。
社内で下手に噂が広まっても煩わしいでしょうし、聞かれても適当にお茶を濁しておけば十分です。
上司と退職の合意が形成されたなら、その後の伝達は上司と確認しながら行いましょう。
上司の上司、人事担当者にはどちらが伝えるのか、言った言わないの話にならないようにだけしておく必要があります。
なお、上司が折れても、上司の上司、人事部、果ては役員クラスが慰留のために乗り出してくる可能性もあります。
待遇改善をちらつかせたり、ややこしい話に持ち込んでくるかもしれません。
基本的には、上司に伝えた内容以上のことを話さなければ、相手に付け入るスキを与える心配もありません。
決まった話を翻させないだけの覚悟はしておきましょう。
退職日の設定
上記でも既に触れた通り、引継ぎや書類手続きなどにかかる時間を考慮すると、退職を申し出てから1~2ヵ月程度の期間を見込んでおくのが望ましいです。
次の勤務先からの要望などで早めに退職する必要がある場合でも、1カ月か、少なくとも3週間程度は空けておかないと厳しいでしょう。
そもそもの交渉の段階で、会社側からの慰留が思った以上に激しくなる可能性もあります。
普段からある程度付き合いのある上司だけならともかく、上司の上司、役員クラスまで出張ってきた場合は、その場ではっきりノーとも言い出せない雰囲気になってしまうかもしれません。
更に、有給休暇を消化せずに溜め込んでいた人は、できればきっちり使い切ってから退職したいもの。
担当業務に片を付け、引継ぎも行い、その上にこれだけやることが乗っかってくるわけです。
退職間際にバタバタせずに済むよう、できるだけ期間を設けておいた方が得策でしょう。
ただし、会社がどうしようもないブラック企業だったりすると、有休なんかどうでもいいからとにかく早く辞めてしまいたいという方もいるかもしれません。
法的には、申告後2週間での退職が認められています。
勤め先の就業規則によっては、「退職日の1か月前に申し出ること」などといったように、期間を定めている場合もあります。
厳密には、民法上の2週間前での退職申し出でも、通せないことはありません。
ただし、本記事の趣旨である「円満退職」に向けては、あまり好ましいやり方とは言えないのは確かです。
会社側としても、手続きや引継ぎに係る時間を見込んでの設定をしていると考えられますから、できれば規則をある程度遵守しておきたいところです。
退職届の提出
ここでようやく、退職届の提出を行います。
なお、退職願と退職届は、似ているようでかなり異なる意味合い・扱いとなってきます。
退職願は、会社に対して退職の希望を申し出るものであるのに対して、
退職届は、会社に対して正式に退職することを申告するものとなります。
退職願は口頭での申告も認められており、上述の上司に対する退職の申し出もこれにあたります。
なお、退職届を口頭で申告しても法的に有効ですが、トラブルを避けるためにも、書面で提出するのが一般的です。
会社によっては、専用のフォーマットが用意されているはずですので、事前に上司や人事部に確認しておきましょう。
引継ぎ・残務処理
後任の担当者に、自身の業務内容の説明、必要資料などの受け渡しを行っていきましょう。
必要に応じて、マニュアル、口頭説明、実践などを交えながら、できる限り滞りなく引継ぎがなされるようにしておきましょう。
社外の人間との取引を担当している場合は、後任者の紹介やあいさつ回りを行う必要があるかもしれません。
面倒な作業ではありますが、退職してからも問い合わせが来るようでは煩わしい上に、きちんと引き継がずに辞めていったとみなされては、社会人としての心証もよろしくありません。
実質的な業務としては勤めてきた会社で最後のものとなりますので、確実にこなしてしまいましょう。
有休の消化
日本の企業で働いている大半の方は、年間20日前後与えられている有給休暇を消化しきれていないのが現状です。
退職の際には、使い切れていない有給休暇をきっちり消化してしまいましょう。
何日有休を溜め込んでいようが、あればあるだけ使ってしまって問題はありません。
ただし、退職日の設定の仕方を誤ると、業務の引継ぎ・書類手続きなどに追われ、せっかくの有休を消化しきれないまま退職日を迎えてしまう恐れもあります。
自身の未消化分を勘定に入れたうえで計画的に退職スケジュールを立てましょう。
また、未だに会社によっては退職前の有休消化を拒否する事例が発生しています。
人によっては、上司から「そんなものは認めない」「うちの会社でそんなことをする人はいない」などと突っぱねられるかもしれません。
原則として、会社側には労働者の有給取得を拒否する権利はありません。
業務繁忙期などの場合、取得時期をずらす交渉を行う権利はあるものの、取得させないということはできないのです。
このような場合、まずは会社の人事部門に相談するのが適切です。
もしそれでもダメなら、労働基準監督署に連絡しましょう。
こうなってくると、非の打ちどころのない円満退社という訳にもいかなくなってきますが、悪いのは会社です。
有休消化を拒まれたから労基署に訴えたという話が転職先に知られたところで、まともな企業であれば、ネガティブイメージを持たれることはありえません。
備品・書類の処理
最後に、持ち物や書類の整理をしていきましょう。
筆記具や事務用品など、会社からの貸与品、会社の経費で購入して利用しているものは、忘れず会社に返却しましょう。
また、社員証や名刺なども返却していく必要があります。
要返却物の内でも、重要な書類などについては人事部でマニュアルやリストを作成してあることも多いので、確認しておきましょう。
また、機密情報や文書、あるいはそれらのデータも、しっかり返却する必要があります。
会社側のセキュリティ対策レベルによりますが、社内のデータをUSBなどのディスクにコピーしても、システム管理者にバレる可能性は充分あります。
ことと次第によっては損害賠償を請求される可能性もあるので、余計なことはせずに退職してしまうのがベターです。
あとは、最終出勤日にお世話になった人たちへのあいさつ回り、メールの配信を行って、無事退職完了です。
まとめ
今いる会社での生活は終わりますが、社会人生活そのものはまだまだ続いていきます。
例え会社から籍を抜いたとしても、今後関わる可能性が一切ないとも言い切れないものです。
最低限の体裁を保って退職することで、自分自身の退職後の仕事や生活を円満なものにしていきましょう。
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